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米井隊員の日常(No.2)地域おこし協力隊のリアルな最初の1週間
大洲市地域おこし協力隊の就任から1週間のお仕事について、今回は書いてみたいと思います。
皆さんは地域おこし協力隊の仕事はどんなの?
と疑問を持たれたことはないでしょうか?
まずは就任から最初の1週間。
どんな仕事をしてきたのかご紹介します。
わたしの任務は「柳沢地区の広報活動」ですので、他の任務の協力隊の方とはまた違った業務内容になるとは思いますが、ご参考までにお楽しみください。
正直、就任するまでは
「山間地域で広報活動をするようなネタはあるのだろうか?」と疑問を持っていましたが、実際にはネタの宝庫でした。
一宮神社「藤縄神楽奉納」に参加
就任してから最初に出かけたのが一宮神社「藤縄神楽奉納」です。
午前中に柳沢コミュニティーセンターで使える機材の説明を受け、柳沢コミュニティーセンターのインスタ投稿の設定を終えました。
そして、午後からは柳沢コミュニティーセンターの職員と一緒に「本郷地区」にある一宮神社へ初めてのお出かけです。
一宮神社では愛媛県無形民俗文化財として指定されている「藤縄神楽」が奉納されています。
一宮神社には地域の方がたくさん集まり、神社の前には柳沢地区の移動販売車「やまちゃんたこ焼き」が出店されていました。

シンメトリーが美しい藤縄神楽
愛媛県大洲市。
「伊予の小京都」と呼ばれるこの街の、さらに深い山あいにある柳沢地区において時を超えて守り継がれてきた舞があります。
愛媛県指定の無形民俗文化財でもある「藤縄神楽(ふじなわかぐら)」です。
神社の境内に響く笛の音と、力強い太鼓の鼓動は私たちの心の深い部分から響き渡ります。
山の中にある、狭い境内の中で繰り広げられる舞を目の当たりにしたとき、私は異次元世界へと足を踏み入れたような感覚に陥りました。
そこには、現代の私たちが忘れかけている「均整の美」が凝縮されていたからです。
視線を奪う「シンメトリー」の魔力
なぜ、異次元の世界へと陥ったように感じたのか?
それは徹底した左右対称の美しさです。
二人の舞い手が、まるで鏡に映った自分自身と踊っているかのように、一寸の狂いもなく同じ軌道を描きます。
右の手が空を仰げば、左の舞い手も同じ角度で空を仰ぐ。
それは単なる「揃ったダンス」ではありません。
右と左、陰と陽、天と地――。
相反するものが一つに溶け合い、秩序を保ちながら空間を作り上げていきます。
その完璧なシンメトリーを目で追うのにはちょうどいいサイズの境内でとりおこなわれます。
全体が身近な距離感の中で同時に動きつける様子を見ているうちに、こちらの心までスッと整っていくような、不思議な感覚に包まれていくのです。
静と動が織りなす「均衡」
激しく舞う場面であっても、そこには常に「軸」が存在します。
荒々しい所作の中に見える、計算し尽くされたような配置の美しさ。
衣装の袖がひるがえる瞬間、扇が弧を描く瞬間。
その一つひとつが対(つい)を成し、一つの絵画のように完成されていきます。
「美しい」という言葉は、こういう瞬間のためにあるのだと、深く納得させられる光景でした。
なぜ、私たちは「対照的」なものに惹かれるのか
藤縄神楽のシンメトリーは、単なる視覚的な演出ではないと感じます。
それはきっと、神様へ捧げる「誠実さ」の現れなのではないでしょうか。
左右が整っていること。
それは、一点の曇りもない清らかな状態を意味しているのではないかと推察します。
古の人々がこの舞に込めた祈りの深さが、左右対称という「究極の形」となって、今を生きる私たちの魂を揺さぶるのかもしれません。
大洲市柳沢地区の藤縄神楽
もしあなたが、日々の喧騒の中で心が少し乱れていると感じるなら。
ぜひ一度、大洲市柳沢地区の藤縄神楽を訪ねてみてください。
大洲市ホームページ「藤縄神楽」
目の前で繰り広げられる「鏡合わせの祈り」を見たとき、あなたの中にある何かが、静かに、そして美しく整っていくはずです。
あのシンメトリーの向こう側には、言葉にできないほど贅沢な静寂が広がっています。
矢落川清掃に参加「ポイ捨てはどこに?」
最初の週末に参加したのは
柳沢地区を流れる清流「矢落川」を綺麗するに活動「矢落川清掃」でした。
清掃活動の様子をリポートさせていただきます。
矢落川清掃
四国内の多くの河川において、毎年4月に川を見つめなおす行事がおこなわれているそうです。
矢落川流域においても毎年4月に「矢落川大清掃(主催:肱川流域会議水中めがね)」が実施されており、矢落川の上流域にあたる柳沢地区でも「矢落川清掃」が実施されることになりました。
柳沢地区での矢落川清掃の参加者は8人。
皆さん、軽トラで駆けつけてくれます。
朝8時に集合し、まずは柳沢コミュニティーセンターの職員から挨拶と注意事項の説明。
小雨の降る、雨模様の天気でしたので、2人1組での行動と、無理のない行動が伝えられました。
わたしにとっては初めての山の中での清掃活動となりました。
いったいどうなるのか?
当初は想像もできませんでした。

道路から傾斜を降りてゴミ拾い
わたしの中のゴミ拾いのイメージは、川沿いを長閑に歩きながら、火ばしでゴミを拾っていく。
そんな清掃をイメージをしていましたが、実際には大違いでした。
それは、私にとってはとてつもなくハードなゴミ拾い体験、清掃活動となりました。
車で柳沢地区の県道を走りながら、県道沿いを流れる矢落川をのぞいて見てもゴミがたくさん落ちているような感じがありません。
そんなにゴミなんてあるのかな?
と、当初は気軽に考えていたのです。
カーブの少し道幅に余裕のある場所に車を止めます。
川沿いへ降りられそうな場所からガードレールを超えて、川原へと降りていきます。
ここから先はクライミングかと思うくらいの急な崖。
しかも雨によって地盤が緩んでいるので、土は柔らかく気軽に上り下りができるような状態ではありません。
そのような中をペアになったセンター職員さんはどんどんと進んでいきます。
正直、私は当初、足が竦んでしまうような状態でしたが、勇気をもって一歩ずつ慎重に降り始めました。
川辺はゴミだらけ
実際に道路から川辺へと降りてみると、その現実に驚かされます。
まさに「ごみの山」状態なのです。
とても綺麗な矢落川ですが、視線を少し道路側に移してみると。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、至る所にゴミが落ちています。
枯れ葉に埋もれて見えないゴミもたくさんあり、空き缶などはさびてしまっているものもあります。
主なゴミは缶、ペットボトル、ビンといった飲料系のゴミでしたが、他にも発泡スチロール、ビニール袋、鍋・食器などの生活用品、ストーブ、テレビ、タイヤなど様々な種類のゴミが落ちていました。
道路から、川だけを見ればとても綺麗な清流が流れている矢落川です。
しかし、残念ながら少し川辺から道路側に視線を向けてみると、このようなゴミの山になっていました。
人が簡単に降りられる、また、車が止めにくい場所はあまりゴミが落ちていない印象です。
一方で、今回の清掃場所となった道路がカーブになっていて車が止めやすい場所。
道路からは川辺が直接見えないような場所にはゴミが捨てられることが多々あるようです。
道路までゴミ袋を上げる作業が大変
今回の矢落川清掃において最も大変だと感じたのは、
回収したゴミを入れた袋を道路まで上げる作業でした。
わたしは正直「非力」です。
今回の地域おこし協力隊の業務を通じて筋力アップができればと思っているのですが、現時点では残念ながらパワー不足・・・。
そんなわたしにとって、急斜面、しかも地盤が緩んでいる状態の中でゴミ袋いっぱいに詰められたゴミ袋を
川辺から道路まで運び上げるのは大変な重労働でした。

集めたゴミ袋を下から順に渡していきます。
特に瓶の入った袋は重く、1つの袋を持ち上げるだけでも大変でした。
わたしにとっては1つでも精一杯のゴミ袋を2ついっぺんに持ち上げていく柳沢コミュニティーセンターの熟練職員さん。
すごいです。
清掃活動で集まったのは40袋以上
柳沢地区の矢落川清掃に参加したのは8名。
2名ずつに分かれて4グループ、4代の軽トラはゴミを満載して柳沢コミュニティーセンターに戻ってきました。
集められたゴミは40袋以上。
さらに、ゴミ袋には入りきられない大型ゴミも多数ありました。
雨の降る中、参加者はゴミの仕分け作業です。
可燃・不燃ごみにゴミ袋の中身を分けていきます。
ゴミ拾いに1時間半、そして仕分け作業に1時間程度の時間を要しました。

1つのポイ捨てが積み重なって
ごみのポイ捨ては簡単にできてしまいます。
ペットボトルを飲み終わった後に「1つくらいなら」とポイっと山の中へゴミを捨ててしまうかもしれません。
でも、その1つのゴミはどこへ行くのでしょうか?
残念ながら、ペットボトル・瓶・缶といった素材が自然にもどることはありません。
ビニール袋や大型ごみも一緒です。
これらのゴミは誰にも気づかれることなく、山の中で埋もれていくか。
誰かが、清掃して回収をしてくれるかのどちらかでしょう。
山の中に放置されたゴミは当然ながら自然環境に悪影響を与え続けます。
そして、誰かがやってくれるであろう清掃には多大な労力と時間が費やされていることを今回の清掃活動に参加して初めて知りました。
これまでは知識として「ポイ捨てはダメ」でしたが、実際に清掃活動に参加することで、山の中での清掃作業の大変さを知り「ポイ捨ては本当に勘弁してほしい」と心から感じた時間でした。
まとめ
愛媛県大洲市の地域おこし協力隊として就任して最初の1週間をまとめました。
柳沢地区の広報活動を通じて地域の魅力と課題の両方を実感します。
伝統文化である藤縄神楽では、左右対称の美しい舞に心を打たれ、地域に根付く歴史と祈りの深さを体感することができました。
一方で、矢落川の清掃活動では、見えにくい場所に蓄積されたゴミ問題と、その回収にかかる大きな労力を体験を通して知ることができました。
山間地域には発信すべき魅力が数多く存在する一方で、守るべき環境もあることを実感します。
これらは、実際に現地に入り、一緒に体験することでしか得られないことだと思います。
地域おこし協力隊の仕事は、こうした価値を地域の方と一緒に体験、発見し、伝え、未来へつなぐ重要な役割であると感じた1週間でした。


