本文
市の文化財が新たに指定されました!
大洲市教育委員会では、貴重な文化財を保存し、また活用などを図ることを目的として、文化財の指定をおこなっています。
平成28年5月30日、新たに4件が市の文化財として指定されたましたので、ご紹介します。
旧松井家住宅主屋 1棟
| 名称 | 旧松井家住宅主屋 1棟 | 
|---|---|
| 種別 | 有形文化財(建造物) | 
| 所在地 | 大洲市柚木317番地 | 
| 所有者 | 大洲市  | 
| 指定の基準 | 意匠的に優秀なもの | 
旧松井家住宅主屋は、大正15(1926)年、フィリピンにおいて貿易会社を経営した松井國五郎(1875-1945)によって建てられた別荘です。肱川の流れ、冨士山、亀山などの景勝地を望むことができ、別荘地として優れた場所に建設されています。平成20(2008)年には、国の登録有形文化財になっています。
良質な栂や黒檀が用いられているほか、東南アジアからの南洋材なども用いられており、貿易業を営んだ松井國五郎を反映させた、国際色豊かな一面がみられます。日本の伝統的な数寄屋造りや書院造りに加え、当時としては新しい技術(コンクリート基礎など)を積極的に組み合わせた、「近代和風の貴重な別荘建築」という点が評価されました。
 旧松井家住宅主屋(玄関側から)
 旧松井家住宅主屋(市道側から)
少彦名神社参籠殿 1棟 附 棟札及び板図
| 名称 | 少彦名神社参籠殿 1棟 附 棟札及び板図 | 
|---|---|
| 種別 | 有形文化財(建造物) | 
| 所在地 | 大洲市菅田町大竹甲1320番地2 | 
| 所有者 | 少彦名神社  | 
| 指定の基準 | 意匠的に優秀なもの  | 
少彦名神社は、昭和3(1928)年、少彦名命(日本神話の神)の終焉とされる地を崇敬するために計画された神社です。
参籠殿は、現存する棟札から昭和9(1934)年に棟上げされたことがわかります。参道沿いの北斜面に三方懸けで建てられており、床面積の約9割にあたる部分が山崖に迫り出しています。これは、市内に遺る懸造り建造物のなかで最大規模になります。懸造りには、伝統的な貫工法のほか、金属ボルトの使用といった近代的技術も積極的に取り入れられています。また、上部の平屋部分はガラス戸が3面にわたって巡り、開放的な室内空間を演出しています。これらの構造や意匠などが、総合的に評価されました。
 少彦名神社参籠殿(懸造りの様子)
 少彦名神社参籠殿(正面側から)
下敷水出土の動物化石群
| 名称 | 下敷水出土の動物化石群 | 
|---|---|
| 種別 | 天然記念物 | 
| 所在地 | 大洲市教育委員会 保管 | 
| 所有者 | 大洲市  | 
| 指定の基準 | 特に貴重な化石の標本 | 
これらの動物化石群は、昭和31(1956)年、肱川町下敷水カラ岩谷の石灰岩採石場で発見されたもので、多くの動物化石が採集されました。
整理作業の結果、これらは更新世後期(12万6,000年前~)以降の動物化石ということが判明しました。このうち、タイリクオオカミ、ヤベオオツノジカ、ニホンムカシジカなど、四国では初確認のもの、また、オオサンショウウオ、オコジョ、テングコウモリ、リュウキュウガモなどの希少性が高いものも含まれていることがわかりました。これら動物化石は、更新世末の四国島の形成や環境復元を知る手がかりになるとして、学術的価値が高いことが評価されました。
 上:ニホンザル頭骨化石、下:ニホンムカシジカなどの化石 
神明神社のヒイラギ
| 名称 | 神明神社のヒイラギ | 
|---|---|
| 種別 | 天然記念物 | 
| 所在地 | 大洲市肱川町名荷谷1770番地 | 
| 所有者 | 神明神社  | 
| 指定の基準 | 代表的な老樹 | 
本樹のある神明神社は、上森山居住の城戸氏が伊勢参りをした際に、地元へ勧請したことが由来とされる神社です。
樹齢は約300年を数え、樹高は約7.6mになり、枝張り東西10.32m、南北8.8mと均整よく伸びた枝が円形の樹冠をかたちづくっています。通常、ヒイラギの葉は、縁に鋸歯(ノコギリの刃)状の棘がありますが、老樹になると葉に棘をもたなくなります。本樹はこうした老樹の傾向がはっきりと現れていること、また、自然のヒイラギの形態を保っていることに加え、市内では最大級のヒイラギであることが評価のポイントとなりました。
 神明神社のヒイラギ(右下:葉の様子)
指定の解除について
同日、市指定文化財(天然記念物)であった「田処境のムクノキ」は、幹全体が倒木したことで、文化財としての価値が失われたと判断されたため、指定文化財を解除されました。



