○大洲市再生可能エネルギー発電施設の適正な設置及び管理に関する条例
令和5年6月28日
大洲市条例第26号
(目的)
第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電事業が自然環境、景観、生活環境等に及ぼす影響に鑑み、再生可能エネルギー発電施設の適正な設置及び管理に関して必要な事項を定めることにより、災害の発生を防止し市民の生命及び財産の保護を図るとともに、本市における美しい自然環境、魅力ある景観及び良好な生活環境を保全することを目的とする。
(1) 発電施設 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項第1号に規定する太陽光、同項第2号に規定する風力及び同項第5号に規定するバイオマスを電気に変換する設備(その附属設備を含む。)を備えた施設をいう。
(2) 発電事業 発電施設を設置すること又は発電施設において発電することをいう。ただし、発電出力の合計が10キロワット以上(同一又は共同の関係にあると認められる設置者が、同時期若しくは近接した時期又は近接した場所に設置する発電施設の合算した発電出力が10キロワット以上となる場合を含む。)のもので以下のいずれかに該当するものを除く。
ア 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物の屋根、側面又は屋上のいずれかに設置するもの
イ 同一敷地内又は隣接した場所に設置し、電気事業者その他の者に電気を供給しないもの
ウ 建築物等の所有者でない事業者が、当該建築物若しくは同一敷地内又は隣接した場所に発電施設を設置し、所有し、及び管理した上で、発電した電気を当該建築物等に供給するもの
(3) 事業者 発電事業を行う者をいう。
(4) 事業区域 発電事業を行う区域をいう。
(5) 該当行政区 区域内に事業区域を含む大洲市地域自治推進条例(平成27年大洲市条例第1号)第2条第3号に規定する行政区をいう。
(6) 近隣住民等 事業区域の隣接地等、発電事業に伴って生活環境等に一定の影響を受けると認められる者をいう。
(7) 周辺関係者 該当行政区の住民及び近隣住民等をいう。
(市の責務)
第3条 市は、第1条に定める目的を達成するため、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じるものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、発電事業の実施に当たり、関係法令及びこの条例並びに関係ガイドラインを遵守し、当該発電事業と地域との共生に支障を生じさせないように努め、当該発電事業が災害の危険性及び自然環境、景観、生活環境等に与える影響について適正に精査し、十分配慮した上で、周辺関係者と良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は、発電施設の適切な設置及び管理に努めるとともに、計画的に資金を積み立てることその他の方法により、発電施設を管理及び撤去するための必要な費用を確保し、発電事業を終了する場合は速やかに発電施設を撤去しなければならない。
3 事業者は、発電事業の実施に伴い事故等が発生した場合又は周辺関係者と紛争が生じた場合は、自己の責任において誠意をもってこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第6条 土地の所有者及び占有者は、災害の発生を助長し、又は良好な自然環境、景観、生活環境等を損なうおそれのある事業者に対して、当該土地を使用させることのないように努めなければならない。
(禁止区域)
第7条 市長は、土砂災害その他の災害が発生するおそれが極めて高いと認められる区域について発電事業の禁止区域として指定することができる。
(1) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域
(4) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された土地
(抑制区域)
第8条 市長は、災害の発生を防止し、良好な自然環境、景観、生活環境等を保全するため、配慮が必要と認められる区域を発電事業の抑制区域に指定し、事業者に協力を求めることができる。
2 事業者は、前項の規定により指定した次に掲げる区域を、事業区域に含めないよう努めなければならない。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第2号に規定する国立公園及び同条第4号に規定する県立自然公園
(2) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第29条の規定により指定された特別保護地区
(3) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号イに規定する農用地区域及び同号ロに規定する集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地
(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の規定により指定された保安林
(5) 景観法(平成16年法律第110号)第8条第2項第1号に規定する景観計画区域
(6) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第93条第1項に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地
(7) 文化財保護法第27条第1項の規定により指定された建造物、同法第57条第1項の規定により登録された建造物及び同法第109条第1項の規定により指定された史跡、名勝又は天然記念物の区域
(8) 愛媛県文化財保護条例(昭和32年愛媛県条例第11号)第10条第1項の規定により指定された建造物及び同条例第37条第1項の規定により指定された史跡、名勝又は天然記念物の区域
(9) 大洲市文化財保護条例(平成17年大洲市条例第126号)第3条第1項の規定により指定された建造物及び史跡名勝天然記念物の区域
(10) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める区域
(事前協議)
第9条 事業者は、第11条第1項の規定による届出をしようとするときは、発電事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、あらかじめ市長と協議しなければならない。
2 市長は、前項の規定による協議があったときは、事業者に対して必要な助言を行うことができる。
(周辺関係者への説明)
第10条 事業者は、前条に規定する事前協議が終了した日後、速やかに当該事業区域の周辺関係者に対して当該事業計画に関する説明会を開催するなど、当該事業計画の周知について必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、第1項の措置を行った結果、周辺関係者から意見の申出があった場合は、意見を申し出た周辺関係者と協議し、対応しなければならない。
(発電事業の届出)
第11条 事業者は、発電事業を行おうとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項について、市長に届け出て審査を受けなければならない。
(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)
(2) 発電事業を行う位置及び事業計画
(3) 事業区域及びその周辺の状況
(4) 発電事業に係る設計又は施工方法
(5) 発電施設の維持管理計画(発電施設の廃止後において行う措置を含む。)
(6) 周辺関係者への説明会に係る報告書
(7) 他法令による許認可等を受けている場合は、その許可書の写し
(8) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
2 事業者は、第7条第2項ただし書に該当する禁止区域又は第8条第2項各号に規定する抑制区域において発電事業を行おうとするときは、関係機関へ事前確認を行わなければならない。
3 事業者は、第1項第1号に掲げる事項を変更したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(審査)
第12条 市長は、前条の規定による届出があった場合は、次に掲げる事項について審査を実施しなければならない。
(1) 発電施設の設置に係る防災上の措置に関する事項
(2) 事業区域の周辺地域における良好な自然環境、景観、生活環境等の保全に関する事項
(3) 発電施設の設計の安全性の確保に関する事項
(4) 周辺関係者との良好な関係性に関する事項
(5) その他市長が必要と認める事項
(審査結果)
第13条 市長は前条の審査が終了したときは、事業者に審査結果を通知するものとする。
2 市長は、必要に応じて前項の通知に意見を付するものとする。
3 事業者は、前項に規定する意見について、必要な措置を講じ、その結果を市長に届け出なければならない。
(工事着手等の届出)
第14条 事業者は、発電施設の設置又は設備の工事(以下「工事」という。)に着手し、若しくは工事を完了し、又は工事を中止し、若しくは中止していた工事を再開するときは、速やかに市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出があった場合は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して資料の提出を求め、職員に事業区域に立ち入らせて必要な確認をさせることができる。
(標識の掲示)
第15条 事業者は、事業着手時に当該事業区域内の公衆の見やすい場所に、規則で定める標識を掲示しなければならない。
(管理)
第16条 事業者は、発電事業を実施する間、災害の発生を防止し、自然環境、景観、生活環境等の保全上に支障が生じないよう、発電施設及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう管理しなければならない。
(発電施設の廃止)
第17条 事業者は、発電施設を廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。
2 事業者は、発電事業の廃止において必要な措置を適切に講じるとともに、発電施設の廃止が完了したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(指導又は勧告)
第18条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して指導又は勧告を行うことができる。
(3) 事業者が第14条第1項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。
(5) 事業者が発電施設の適正な設置若しくは管理を怠り事業区域外に被害を与えたとき、又は被害を与えるおそれがあるとき。
(6) 前各号に定めるもののほか、市長が必要と認めるとき。
(報告徴収及び立入調査)
第19条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して報告若しくは資料の提出を求め、又は職員に事業者の事業所若しくは事業区域に立ち入らせて必要な調査をさせることができる。
2 前項の規定により立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(公表)
第20条 市長は、第18条に規定する勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ事業者にその理由を通知し、弁明を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年10月1日から施行する。