○大洲市男女共同参画推進条例

平成17年1月11日

大洲市条例第29号

大洲市は、肱川の清らかな流れと緑の山々という豊かな自然に恵まれ、古くから県有数の農業都市として発展してきた。

これまで大洲市では男女共同参画のための施策が展開されてきたものの、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく慣行がいまだ根強く残っている。それが社会のさまざまな分野で男女間の格差が生じる要因となっている。また、少子高齢化等の急速な進展などの変化に対応し、豊かで活力ある社会を築くためには、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を発揮し職場、学校、地域、家庭その他あらゆる分野において対等に参画し、共に責任を担う男女共同参画社会を実現することが課題となっている。

性別による役割分担を解消し、それに基づく慣行を是正するとともに、政策、企画等の決定過程に共同して参画することができる社会を実現するための取組を進めることが必要である。

ここに、市民、事業者、国及び県と連携の下、真の男女共同参画社会を実現させるため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、活力のある男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) ジェンダー(社会的・文化的性別) 生物学的な性別とは異なる男女の役割を固定的にとらえる社会的又は文化的に形成された性別をいう。

(3) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。

(4) セクシュアル・ハラスメント(相手方に不快感を与える性的言動) 性的な言動により他の者を不快にさせ、その者の就業環境、教育環境その他の生活環境を害すること又は性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与えることをいう。

(5) ドメスティック・バイオレンス(夫・パートナーからの暴力) 配偶者等から受ける身体的、精神的、経済的又は言語的な暴力及び虐待をいう。

(6) 事業者 市内における公的機関又は事業活動を行う個人、法人をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられ、男女が共に性別による差別的扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が均等に確保されること。

(2) 性別による固定的な役割分担等に基づく社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されること。

(3) 男女が社会の対等な構成員として、市における施策又は事業者その他の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 男女が家族の一員としての役割を果たし、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動と家庭以外の地域、職域、学校その他の社会のあらゆる分野における活動との両立ができるよう配慮されること。

(5) 経済活動の分野において、男女が均等な就業環境の下で、労働、生産、経営等に協働して取り組むことができるよう配慮されること。

(6) 学校教育及び生涯にわたる社会教育の分野において、自立の精神と男女平等の意識が育まれる教育が確保されること。

(7) 生涯にわたる妊娠、出産その他の性及び生殖に関する事項に関し、男女が互いを理解し合い、自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮されること。

(8) 男女共同参画の推進に関する取組は、国際社会及び国内における取組と協調して行われること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、これを計画的に実施する。

2 市は、市民、事業者及び教育関係者並びに国及び他の地方公共団体と連携して男女共同参画の推進に関する施策を実施する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、ジェンダーによる社会における制度及び慣行を改善し、家庭、地域、職域、学校その他の社会のあらゆる分野において積極的に男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、男女が職域における活動に対等に参画することができる体制の整備に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる就業環境を整備するよう努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第7条 学校教育、社会教育その他のあらゆる分野における教育関係者は、それぞれの教育の目的を実現する過程において、基本理念にのっとった教育を行うよう努めなければならない。

2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害等の禁止)

第8条 何人も、家庭、地域、職域、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他男女共同参画を阻害する暴力的行為を行ってはならない。

(情報の公表に際しての留意)

第9条 何人も、市民に公表する情報において、性別による差別的扱い、固定的役割分担又は異性に対する暴力的行為を助長し、人権を侵害する表現を行わないよう配慮するものとする。

(基本計画)

第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画に関する施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画に関する必要な事項

3 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。

(積極的改善措置)

第11条 市は、人事管理その他の組織運営及び政策決定の機会において、積極的改善措置を講じ、率先して男女共同参画を推進するものとする。

2 市は、委員会、審議会その他これに準ずるものの構成員を委嘱し、又は任命するに当たり、積極的改善措置を講じ、男女の構成員数の均衡を図るよう努めるものとする。

(調査研究)

第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施のため、必要な情報を収集し、調査研究を行うものとする。

(広報及び啓発活動等)

第13条 市は、男女共同参画の推進について市民等の関心と理解を深めるため、広報及び啓発活動等を行うものとする。

(施策の推進体制の整備)

第14条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。

2 市は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画の視点をもって取り組むものとする。

3 市は、男女共同参画の推進のため、必要な財政上の措置その他の措置を講じるものとする。

(事業者からの報告)

第15条 市長は、男女共同参画の推進に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

(相談申出への対応)

第16条 市は、性別による差別的扱いその他男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関して、市民等から相談の申出があった場合は、関係機関等と連携し適切な措置を講じるものとする。

(設置)

第17条 市長は、男女共同参画推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を審議するため、大洲市男女共同参画推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。

(組織)

第18条 推進会議は、委員11人以内をもって組織する。

(委員)

第19条 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 男女共同参画づくりに関し識見を有する者

(2) 民間団体等から推薦があった者

(3) その他市長が適当と認める者

2 委員の任期は2年とし、再任は妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。

(その他)

第20条 前3条に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成17年1月11日から施行する。

大洲市男女共同参画推進条例

平成17年1月11日 条例第29号

(平成17年1月11日施行)