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山本隊員の日常(No.14)

更新日:2023年7月12日更新 印刷ページ表示

山本隊員の日常(No.14)

農林振興課の山本です。
6月は長期休暇をいただき、関東で知人のところで夫と共に農業研修をさせてもらったりと、学びの旅に出ておりました。
まず向かったのは、長野県小諸市。山林が多いのは大洲と同じですが、浸食作用によって成形されたなだらかな平地が、ヨーロッパの主要ワイン産地の景観を思い起させます。私の友人が、この地に数年前に移住し、ワイン用葡萄の生産を行っています。様々な園地を見せてもらったあと、作業を手伝わせてもらいました。
彼女と知り合ったきっかけはダンスでした。毎日9時から17時まで約2か月間ほぼ休みなく続く練習を共にした彼女との当時の会話といえば、振付や衣装、練習スケジュールのことなど、ダンスに関わるものだけ。しかし、先日話したのは、使いやすい刈払い機の話からはじまり、理想とする農法や畑の個性、移住や暮らし方についてで、卒業以来会っていなかった二人がしている会話とは思えませんでした。ヨーロッパ、とくにフランスとの縁が近い彼女。私が大好きな地域である国境の町、アルザス・ロレーヌ地域にも研修に行っていたそうで、話を
していて勉強になることばかりでした。

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宿泊は、お勉強も兼ねて、お隣の東御市にある農家民宿に宿泊です。ご夫婦がまとっている空気がとてもすてきで、チェックインの際、畑の中からお二人が出迎えてくださった光景は、おとぎ話の中の風景さながらでした。実際に宿を運営するときに直面する問題をはじめ、実践者にしかわからないことを、惜しみなく提供していただき、我々の農家民宿運営がまた一つ現実味を帯びました。やはり、民宿はオーナーの人柄が表れますね。
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四国にいると中々お目にかかれない、パタゴニアにも訪問しました。私にとって「買い物は投票」という概念を教えてくれた企業の一つです。ここにも、都内と神奈川県でオーガニック食材を扱っているスーパーに勤めていたときの同僚の知り合いがいたりと、楽しい滞在になりました。パタゴニアは、アウトドアやアスリートにとどまらず、農作業にも優しいデザインなのを実感しています。
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次は、神奈川県大磯町に移動。我々が2018年に千葉から移住し、ベルリンに引っ越すまで一年ほど住んだ町です。出身地である小田原市からほど近い、山と海がある静かな港町。過去の大御所政治家の別荘地としても有名で、昭和初期には政治の影の舞台ともなったここ大磯では、私の友人が養鶏を営んでいます。実際に我々が養鶏を行う場合は、住む地域の方も既に実践していらっしゃる庭先養鶏くらいの規模になると思いますが、餌や小屋、床の作り方などをぜひ彼女から学びたいと思い、やってきました。町の老舗豆腐店や蕎お麦屋さんが廃棄す
るものを餌の材料を活用していて、配合していると人間でも食べられそうな、おいしそうな香りがしてきます。そのほか、無農薬で作っている農家さんから譲ってもらったおいしそうな柑橘や野菜を与えています。小屋の環境、洗卵のこと、鳥獣害対策など、実践しているからこその知識と経験を、惜しみなく教えてもらいました。持つべきものは友、ですね。
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二日目は、友人も参加している「大磯古道山道つなげ隊」の活動に参加させていただきました。大磯のかつて使われていた山道復活を目的に、山道整備や現場調査、広報活動を行っている組織です。この日は、雨でぬかるんだ斜面のシガラの補強を行いました。会員の皆さんの知識と経験、そして熱意が半端ない!作業の合間に、作業時のファッションの話に混ぜてもらい、学校の休み時間のような雰囲気。皆さん美意識高いです。都心からたった一時間の里山、大磯の今後の動向に目が離せませんし、こういう形でつながれたことにただただ感謝のひとと
きでした。我々も今後山林を預かることになったときに、こういった手法を実践していきたいです。
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翌日は、千葉県木更津市にあるKurkku Fieldsへ、園内に詳しい友人の解説を聞きながら、じっくりと視察しました。土の循環、水の循環がうつくしく行われているこの場所は、元々は産業廃棄物処理場だったというから驚きます。地球の住人すべてが、小さくてもこの循環を自分たちの住まいで実現できたら、どんなに豊かな世界になるのだろうと希望が湧きました。
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ひょんなことから官庁街に出向くことになり、農林水産省で一般向けに「各地方参事官室の取り組み」について展示があったので、訪ねてみました。四国からは香川と愛媛の紹介があり、愛媛県は、久万高原町をはじめとする県内で活発なクラフトビール醸造について紹介されていました。東京でふと「愛媛」や「大洲」というワードを見ると、うれしいですよね。
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最後の2日間は、生まれ育った町、神奈川県は小田原市板橋地区と箱根町へ行き、休息。もう実家はありませんが、私にとっては永遠にここが実家です。ここから毎日箱根の山の上にある学校に、ランドセルを背負い、登山電車に乗って通っていました。箱根町が現在の別荘地だとすれば、板橋は明治大正時代の人気の別荘地。とてものんびりしていて、後ろに箱根連山がどっしりと横たわり、目の前には相模湾しか見えない風景がある板橋は、私にとって特別な地域です。今思えば、私は別荘地に日常を見出しているのかもしれません。言われてみれば
、いま住む準備を整えている柳沢の有久保・河内・水ノ峠地域も、そういう雰囲気を持っているような気がします。
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今回はゆっくりと旅の日々を振り返ってみました。来月は、大洲でのたのしいイベントや行事を報告させていただきます。